マンジャロで痩せる理由を解説｜いつから効果が出る？痩せない人の特徴は？

• そもそもマンジャロとはどんなもの？
• マンジャロを投与するとなぜ痩せるの？
• マンジャロでも痩せない人の特徴は？

マンジャロとは「有効成分・チルゼパチド」を含む皮下注射製剤のことで、本来は2型糖尿病の治療に用いられる薬として開発されています。

ただし、マンジャロを投与した後の効果として「体重の減少」が認められていることから、最近ではダイエット・痩身・美容などの目的で同製剤を利用するケースも増えてきました。

マンジャロ（チルゼパチド）を投与するとインスリンの分泌が促進され、食欲抑制効果が生まれます。これにより体重を落とすというのがマンジャロを用いたダイエット方法の概要です。
⇒脳の中枢神経に働きかけて食欲を無意識的に抑え込む、食べ物を消化するスピードが落ちて満腹感が持続する

しかし、その人の体型や体質によってはマンジャロを投与しても痩せない可能性、効果が出づらい可能性があります。

この記事ではマンジャロダイエットの仕組みから副作用のリスクまで詳しく解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそもマンジャロとは？なぜ痩せるのか？

マンジャロは2型糖尿病の治療のために開発された製剤で、2022年9月26日に製造販売の認証を受けています。

比較的新しい製剤ではありますが、世界で初めて「GIP（グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド）」と「GLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）」の2つの受容体に作用する薬として注目を集めました。

そんなマンジャロの基本情報から説明していきましょう。

マンジャロとは2型糖尿病治療薬のひとつ

マンジャロは2型糖尿病治療薬のひとつで、インスリンの分泌を促すことで体内の血糖値をコントロールする効果があります。

正常な身体であれば食事後にインスリンが分泌されて血糖値も安定しますが、インスリンを分泌するための受容体がうまく作用しないと血糖値が乱れてしまい体調の悪化に繋がってしまいます。

そうしたインスリンの働きをサポートする製剤が「マンジャロ」ということです。

マンジャロは「1回のみ使い切りタイプのオートインジェクター型注入器」を用いて、週に1回（2.5mgまたは5mgから）の投与をおこないます。
最初から注射針と薬品がセットになっていて、患者自ら簡単に投与できるところが大きな特徴です。

マンジャロの用量は2.5mg～15mgで、治療の目的や症状の度合いによって選ぶ種類が変わってきます。

適切な量を投与しないと副作用のリスクが高まるため、決められた用量と投与の頻度を守ることが重要です。

注射針とのセットかつ使い切りタイプなので、知識がない人でも取り扱いを間違える心配が少ないといった特徴もあります。

GIPとGLP-1の両方に作用する持続性受容体作動薬

マンジャロは「GIP（グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド）」と「GLP-1（グルカゴン様ペプチド-1）」の両方に作用するところが最大の特徴です。

従来の薬はどちらか片方の受容体に働きかけるものでしたが、マンジャロはインスリンの分泌（血糖値のコントロール）に必要な2つの受容体に対して効果を発揮します。

GIP	食後に「小腸」から分泌されるホルモンの一種で、インスリンの分泌と脂肪の分解を促進する作用がある
GLP-1	食後に「小腸～大腸」から分泌されるホルモンの一種で、脳の中枢神経に働きかけて満腹感を持続させる作用がある

マンジャロは上記2つのホルモンを分泌するための受容体に働きかける薬です。

食欲を抑え、脂肪の分解を手助けし、満腹感を持続させることで高いダイエット効果が生まれると考えられています。

なお、マンジャロ（有効成分・チルゼパチド）が体重減少に役立つことはいくつかの研究によっても判明しています。

Among Japanese patients with T2D, tirzepatide showed the greatest effectiveness in reducing HbA1c levels and inducing weight loss.

引用：Effect of tirzepatide on glycaemic control and weight loss compared with other glucagon-like peptide-1 receptor agonists in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus（意訳：日本人2型糖尿病患者におけるチルゼパチドの血糖コントロールおよび体重減少に対する効果と他のGLP-1受容体作動薬との比較）

こちらは論文の一節を抜粋したものですが、簡単に意訳すると「日本人の2型糖尿病患者において、チルゼパチドはHbA1c値（血中ヘモグロビンと結合したブドウ糖の割合）を下げ、体重減少を誘導する上でもっとも高い有効性を示した」となります。

GIPまたはGLP-1に働きかける他の薬と比べても、その有効性は高いということです。

マンジャロで痩せる理由とダイエット効果について

ここからはマンジャロを投与することで痩せる理由とダイエット効果について分かりやすく説明していきます。

マンジャロダイエットに興味を持っている方は、ぜひこちらの内容をご覧になっておいてください。

①食欲を抑える

「GIP」と「GLP-1」は膵臓に作用する受容体と結合することでインスリンを分泌します。

インスリンの分泌量が適切だと過度な空腹感が減り、結果として食欲を抑える効果に繋がるということです。

定期的にマンジャロを投与していると「何か食べたい」という気持ちが抑えられるため、自然と1日の摂取カロリーが下がります。

上記の作用がマンジャロダイエットの根幹となります。（食欲が下がる⇒食べる量が減る⇒1日の摂取カロリーが基礎代謝による消費カロリーを下回る）

②満腹感を持続させる

マンジャロを投与すると食べ物の消化スピードが遅くなります。これにより満腹と感じている時間が長くなり、間食や余計な食事の回数が減るというのもマンジャロによる効果です。

また、食べ物が胃の中に留まる時間が長くなると血糖値の急激な上昇を抑えることにも繋がります。

血糖値が急激に上がると余った糖分が脂肪となるため、太る原因になってしまいます。それを抑制するのがマンジャロの役割ということです。

③脂肪の分解スピードを促進する

「GIP」には脂肪の分解を促進する作用がありますので、すでに蓄積されている内臓脂肪の減少にも有効的です。

BMIが平均値を超えている方、内臓脂肪のレベルが高い方だと短期間で効果を実感する可能性もあります。

内臓脂肪が減ると消化器官や他の臓器の働きにも良い影響を与え、基礎代謝アップなど他の副次的作用が得られることも考えられます。

マンジャロ/チルゼパチド5mg～15mgによるダイエット効果の研究データ

ここではマンジャロ（チルゼパチド）を投与することで得られる効果について、研究データを基に解説していきます。

参考にしたのは横浜市立大学附属病院准教授参加のSYNERGY-NASH Investigatorsグループの研究結果です。

以下のグラフは「MASH患者」に対して5mg～15mgのチルゼパチドを投与した場合、どのような効果が得られ、どのように体重が変わるのかを表しています。（MASH＝内臓脂肪が蓄積され肝臓に慢性的な炎症を起こす疾患）

体重減少は、チルゼパチド5mg、10mg、15mg群でそれぞれ -10.7%、-13.3%、-15.6%であり、いずれの群もプラセボ群の‐0.8％と比較して減量効果が認められました。

引用：横浜市立大学附属病院｜国際共同第2相試験で糖尿病治療薬チルゼパチドの MASH（Metabolic dysfunction-associated steatohepatitis）改善効果を報告

分かりやすくまとめると「マンジャロ（チルゼパチド）を投与したグループでは約10％～15％の割合で体重の減少が認められた」ということです。

同データを見ると、投与する量が多くなるほど体重が減少する割合も増えています。

こうした研究データからもマンジャロの投与がダイエット効果を生むことが分かっています。ただし、上の研究ではチルゼパチドにより「胃腸障害（下痢・便秘・嘔吐など）」といった副作用が生じることも判明しているため、使用に関しては注意が必要です。※割合は3割ほど

マンジャロはダイエット効果ない？痩せない人の特徴

ネット上でマンジャロダイエットについて調べてみると「マンジャロを使ってもダイエット効果がなかった」という意見をたまに見かけます。

2024年ごろから痩身目的でマンジャロを利用する人が増えていますが、すべての人が100％痩せるわけではありません。

ここでは、マンジャロを投与しても痩せない人・効果が出づらい人の特徴をまとめましたのでご覧ください。

BMI数値が平均を大きく下回る人

身長と体重から算出されるBMI数値が平均よりも大きく下回る人だと、マンジャロ投与によるダイエット効果が出づらい可能性があります。

体重（kg）÷身長（m）÷身長（m）＝BMI数値

BMI数値の平均はだいたい20～23程度です。25以上だと肥満体型、逆に18.5以下だと瘦せ型に分類されます。

BMI数値が18.5～20以下の人はそれ以上に痩せる幅が少ないため、マンジャロダイエットを試すメリットがあまりないと言えるでしょう。

そもそもマンジャロは2型糖尿病を患う人や肥満体型の人の治療に用いられる薬なので、瘦せ型の人は利用を控えた方が賢明です。

マンジャロ処方後も食事量が過剰な人

マンジャロダイエットの仕組みは食欲を抑え、基礎代謝による消費カロリーより摂取カロリーを下回らせることで自然と痩せていくというものです。

そのため、マンジャロを投与しても以前と変わらず食事の量が過剰であれば体重は落ちません。

マンジャロによる脂肪の分解効果にも限界はありますので、ダイエット効果が実感できない場合には意識的に食事の量を減らすよう努めましょう。

慢性的に運動不足な人

血糖値を安定させ糖尿病を改善するには日々の運動が欠かせません。これは、マンジャロによってダイエット効果を得る際も同様です。

食欲を抑える作用と運動によって消費されるカロリーが組み合わさることで体重の減少効果は現れます。そのため、慢性的に運動不足な人はマンジャロ投与と合わせてウォーキングや簡単な筋トレをおこないましょう。

マンジャロダイエットや痩せる理由に関してよくある質問

ここからはマンジャロを用いたダイエットに関してよくある質問に答えていきます。

自分が気になる部分をぜひチェックしてみてください。

マンジャロの効果が出るのはいつから？

マンジャロを投与してから効果が出るまでの期間はだいたい1～2週間ほどです。

投与後から緩やかに食欲が抑えられるようになり、間食や夜食の摂取回数が減っていきます。

だいたい何か月で痩せる？

実際にダイエット効果が現れるまでの期間は1ヵ月程度です。

2～3週間ほどで食事の量や回数が減っていき、段々と体重の減少が数値として見えてきます。

また、多くの場合は血糖値の安定や基礎代謝の向上といった効果も現れます。

みんなは何キロくらい痩せてる？

どれくらい痩せるかは元々の体重や体質によって変わりますが、2～3ヵ月ほど投与を続けることで「2kg～10kg前後」は痩せます。

肥満体型だった場合にはさらに多くの体重減少が見込める可能性もありますが、これは100％の効果を保証するものではありません。

マンジャロの処方は最低5mgから？

2型糖尿病の治療としてマンジャロを用いる場合には、最初に2.5mgの投与からはじめて段階的に5mgへと移行することが一般的です。

痩身目的でマンジャロを投与する際も同じ工程となるケースが大半であり、2.5mgの投与を4週間ほど続けた後で5mgに増やすところが多く見かけられます。

マンジャロによる副作用や危険性は？

マンジャロを含めGLP-1受容体作動薬に関しては、以下のような副作用に注意が必要となります。

• 低血糖症状（脱力感や高度の空腹感）
• 冷や汗を伴う動悸や眩暈
• 吐き気
• 悪心
• 下痢
• 嘔吐
• 便秘

参考：厚生労働省｜GLP-1 受容体作動薬及び GIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について

また、重度の副作用としては急性膵炎の危険性もありますので、マンジャロを投与する前には必ず医師からの診察を受けましょう。

マンジャロは自分で投与できる皮下注射タイプの薬です。そのため、使用頻度を自分で守ることが求められます。

【まとめ】マンジャロダイエットは痩せやすいが使用頻度や副作用に注意が必要

高いダイエット効果が得られる製剤として美容業界からも注目を集めている2型糖尿病治療薬「マンジャロ」について解説してきました。

マンジャロには食欲を抑える効果・満腹感を持続させる効果・脂肪の分解を早める効果があります。

こうした効果が合わさることで体重の減少に有効的といった研究データもありますが、使用頻度や副作用には注意が必要です。自分が求める痩身効果とリスクの両方をよく理解した上で、マンジャロの投与を検討してみてください。