近年、SNSを中心に「マンジャロで痩せた」「短期間で体重が落ちた」といった投稿が急激に目立ち始め、それに伴いダイエット目的でマンジャロを使用する人が増えています。
一方で、個人間売買や転売、医師の管理を受けない自己使用などが問題視され、東京都薬務課がSNS上で警告を出したことでも大きな話題となりました。
マンジャロは本来、2型糖尿病の治療に用いられる医療用医薬品です。体重減少作用が注目されるものの、吐き気や低血糖などの副作用リスクもあり、安易な使用には注意が必要とされています。
この記事では、ダイエット目的でのマンジャロ使用が炎上した経緯、薬の仕組みや危険性、保険適用の条件などを分かりやすくまとめました。
「マンジャロを使えばすぐに痩せられるのか」「マンジャロは違法なのか」といった疑問を持っている方は、こちらの内容をぜひご覧ください。
※本記事は一般的な医療情報をまとめたものであり、診断・治療を目的としたものではありません。
マンジャロをダイエット目的で使用するのはNG?なぜSNSで炎上したのか
まずは、マンジャロをダイエット目的で使用することが「なぜ炎上したのか」について紹介していきます。
マンジャロを取り巻く現状をぜひご覧ください。
SNSを中心に炎上したきっかけ|インフルエンサーからの発信
マンジャロを巡る炎上が広がったきっかけのひとつが、インフルエンサーによる発信です。
ネット番組やSNS上では、「マンジャロを打てば痩せられる」「芸能人や美容感度の高い人はみんな使っている」といった内容が拡散され、痩せ薬として紹介されるケースが相次ぎました。
しかし、マンジャロは本来、2型糖尿病の治療を目的として承認されている医療用医薬品です。
体重減少作用があることは知られているものの、「誰でも簡単に痩せられる薬」のように宣伝する行為については、医療面だけでなく法的観点からも問題視されています。
特にSNSでは、医療知識のない一般ユーザーが投稿内容を鵜呑みにしてしまうリスクがあり、実際に「美容目的で気軽に使用している」「個人売買で購入した」といった投稿も広がり、社会的な議論へ発展しました。
こうした発信については、以下の法律に抵触する可能性が指摘されています。
- 医薬品医療機器等法(薬機法):医薬品の無許可販売・広告規制違反など
- 医師法:医師資格がない者による医療的効能の断定的説明
- 景品表示法:誇大広告や誤認を招く表現
- 医療法:医療広告ガイドラインに抵触する可能性
もちろん、実際に違法かどうかは個別の事案ごとに判断されますが、痩せ薬として安易に拡散する行為には慎重さが求められています。
東京都薬務課はXアカウントに対して警告を行っている
東京都保健医療局健康安全部薬務課(以下、東京都薬務課とする)は、SNS上でマンジャロの宣伝・販売・譲渡を行っているとみられるXアカウントに対し、直接警告を送る対応をしています。
今回SNS上で話題となったインフルエンサーのXアカウントに対しても、東京都薬務課の公式アカウントは警告的な返信を行っていました。
東京都保健医療局健康安全部薬務課の公式Xアカウントは、2型糖尿病治療薬「マンジャロ」などを無許可で販売しているとみられるアカウントに対し、直接リプライ(返信)を送る形で警告を行っている。
引用:Yahoo!ニュース|東京都、Xで監視指導強化 「マンジャロ」無許可販売に警告連発

前述のインフルエンサーだけでなく、マンジャロ関連の販売・譲渡に関する投稿に対しては、ご覧のような警告が送られています。
これまで医薬品の違法販売はフリマアプリや個人サイトが中心でしたが、近年はXやInstagramなどSNS経由での売買も増えており、行政側も対応を強めている状況です。
マンジャロの違法販売・転売によって逮捕者も出ている
実際に、マンジャロの無許可販売を巡っては摘発事例も出ています。
2026年6月2日、大阪府警は糖尿病治療薬「マンジャロ」を無許可で販売・保管した疑いで、20〜30代の男女3人を書類送検しました。
糖尿病治療薬の「マンジャロ」を無許可で販売したなどとして、大阪府警は2日、同府や奈良県に住む20〜30代の男女3人を医薬品医療機器法違反の疑いで書類送検した。
引用:日本経済新聞|糖尿病治療薬「マンジャロ」を無許可販売・保管疑い 3人書類送検
マンジャロは医療用医薬品であり、基本的には医師の診察・処方を経て適切に使用されることが前提です。
そのため、個人間での転売や譲渡、無許可販売は薬機法違反に該当する可能性があります。
そもそもマンジャロとは?本来は糖尿病治療に使われる薬
ここまで紹介してきたように、マンジャロは「ダイエット薬」「痩せ薬」としてSNSで話題になっていますが、本来は2型糖尿病の治療を目的として開発・承認された医療用医薬品です。
血糖値をコントロールする働きを持つ一方で、食欲低下や体重減少が起こるケースもあることから、近年はダイエット目的で注目されるようになりました。
マンジャロがどういった医薬品なのかを分かりやすく解説していきますので、ぜひご覧ください。
マンジャロは2型糖尿病治療薬として承認されている
マンジャロ(一般名:チルゼパチド)は、2型糖尿病の治療薬として承認されている注射薬です。
血糖値を下げるホルモンの働きをサポートすることで、食後の血糖上昇を抑える作用があり、国内でも糖尿病治療に使用されています。
SNSでは「ダイエット注射」のように扱われることもありますが、本来は糖尿病患者に対して使用される医療用医薬品であり、美容目的の使用を前提に承認された薬ではありません。
実際、厚生労働省もGLP-1受容体作動薬やGIP/GLP-1受容体作動薬について注意喚起を行っています。
現在,製造販売されている別表のGLP-1受容体作動薬は,2型糖尿病のみを効能・効果として承認されていますが,それ以外の適応外で使用された場合の安全性及び有効性については確認されていません。
引用:厚生労働省|GLP-1 受容体作動薬及び GIP/GLP-1受容体作動薬の適正使用について
ダイエットのように、本来の目的とは異なる形で使用した場合については、安全性や有効性が十分に確認されていないということになります。
こうした背景からも、「インフルエンサーや芸能人が使っているなら大丈夫」と安易に判断するのは危険と言えるでしょう。
食欲低下や体重減少が起こる仕組み|GIP/GLP-1受容体への作用
マンジャロで体重減少が起こる理由は、「GIP」と「GLP-1」という消化管ホルモンに作用するためです。
簡単にいうと、食欲を抑えたり、血糖値の急上昇を防いだりすることで、結果的に食事量が減りやすくなる仕組みと考えられています。
- 食事をすると「GIP」「GLP-1」というホルモンが分泌される
- マンジャロ自身がこれらのホルモンと同じ(あるいはそれ以上の)働きをする
- インスリン分泌を促し、血糖値の急上昇を抑える
- 胃の動きがゆるやかになる
- 満腹感が続きやすくなる
- 食欲が低下し、食事量が減少する
- 結果として体重減少につながる場合がある
特にGLP-1には「満腹中枢へ働きかける作用」があるとされていて、食べ過ぎを防ぎやすくなることが知られています。
また、マンジャロはGIPとGLP-1の両方へ作用する点が大きな特徴で、従来のGLP-1受容体作動薬より強い体重減少効果が現れるケースもあります。
ただし、こうした作用はあくまで糖尿病治療の中で確認されているものであり、誰にでも安全かつ同じような効果が出るとは限りません。
「マンジャロ=簡単に痩せる薬」という認識が広まるリスク
SNSでは「打つだけで痩せる」「我慢せずに体重が落ちる」といった発信も見られますが、マンジャロは本来、医師の管理下で使用される医療用医薬品です。
実際には、吐き気や下痢、低血糖などの副作用が起こることもあり、体質や持病によっては使用に注意が必要な人もいます。
また、「簡単に痩せられる薬」というイメージだけが先行すると、自己判断での使用や個人売買・譲渡の増加、その結果として予期せぬ副作用に苦しむリスクが高まります。
参考:上野大臣会見概要
ダイエット目的でマンジャロを使用した場合の危険性
ここでは、ダイエット目的でマンジャロを使用した場合に、どういった危険性があるのかを詳しくまとめました。
場合によっては重篤な副作用を引き起こすことも考えられるため、マンジャロの使用には慎重にならなければなりません。
吐き気・低血糖・膵炎など注意すべき副作用がある
マンジャロの副作用としては、吐き気や嘔吐、下痢、便秘などの消化器症状が比較的多く報告されています。(脱水症状の事例も目立つ)
下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。
引用:PMDA(医薬品医療機器総合機構)|持続性GIP/GLP-1受容体作動薬 チルゼパチド注射液
国内及び海外の臨床試験において、下痢、嘔吐等の胃腸障害の発現が報告されている。下痢、嘔吐から脱水を続発し、急性腎障害に至るおそれがあるので、患者の状態に注意すること。また、下痢、嘔吐等で食事がとれないような状態(シックデイ)が持続し、脱水状態が懸念される場合は、十分な水分摂取を行い、速やかに医師に相談するよう患者及びその家族に指導すること。
引用:JAPIC(一般財団法人日本医薬情報センター)|医薬品インタビューフォーム
吐き気がすごいので、全く食欲はなくなる。3日とか食べなくても大丈夫なくらい。水も気持ち悪いみたいな感じなんで、脱水とかになっちゃう
引用:TBS NEWS DIG|“水も気持ち悪い”「やせる薬」として拡大 糖尿病治療薬「マンジャロ」安易な使用の先には想像超える副作用
特に使用開始直後や薬の増量時に症状が出やすいとされ、人によっては日常生活へ支障が出るケースも珍しくありません。
また、糖尿病治療薬との併用状況によっては低血糖が起こる可能性もあり、重症化すると意識障害につながる危険性もあります。さらに頻度は高くないものの、急性膵炎など重い副作用にも注意が必要です。
医師の管理なしで使用すると副作用リスクが高まる
マンジャロは自身で皮下注射を行うタイプの医薬品です。本来は医師の診察や検査を受けた上で使用することが前提となっています。
糖尿病の有無や持病、現在服用している薬によっては、マンジャロの副作用リスクが高まるケースもあります。
一例として、他の糖尿病治療薬と併用した場合には低血糖症状が起こりやすくなることがあり、適切な用量調整が必要です。
管理不十分なマンジャロや偽物を使う危険性
SNSや個人売買を通じて流通しているマンジャロの中には、保管状態が不明なものや、正規ルートではない製品が含まれている可能性があります。
理解しておきたいのは、マンジャロは温度管理が必要な注射薬という点です。適切に保管されていなければ、マンジャロの品質は劣化する恐れがあります。
見た目に異常がなくても、有効性が低下していたり、安全性に問題が生じていたりするリスクは否定できません。
「少し安く買えるから」「病院へ行かずに済むから」といった理由で個人売買を利用するのは非常に危険であり、必ず医療機関を通じて正式に処方を受けることが重要です。
マンジャロは保険適用される?自由診療との違い
次に、マンジャロが保険適用されるかどうか、自由診療との違いについて解説していきます。
前提として、マンジャロの本来の目的に沿って処方される場合は保険適用、それ以外は保険が適用されないという点を覚えておきましょう。
マンジャロが保険適用となる条件
マンジャロは、2型糖尿病と診断された患者に対して、医師が必要と判断した場合に保険適用となります。
単純に「体重を落としたい」「美容目的で痩せたい」といった理由では保険適用にはなりません。
マンジャロは血糖コントロールの改善が目的であり、食事療法や運動療法を行っても十分な改善が得られないケースなどで使用が検討されます。
ダイエットや美容目的でのマンジャロは自由診療
マンジャロを美容目的やダイエット目的で使用する場合は、基本的に自由診療となります。自由診療では保険が適用されないため、診察料や薬代は全額自己負担です。
なお、クリニックによってマンジャロの料金設定は異なり、数万円単位の費用がかかるケースもあります。
また、医師が処方したからといっても、糖尿病治療以外の目的でマンジャロを使用した場合の安全性は保証されていません。
ダイエットが目的の場合は保険適用の肥満治療薬を選択
仮に肥満症と診断された場合には、厳しい基準を満たすことで保険が適用される肥満治療薬を選べるケースがあります。
その代表例が食欲を調整する「ウゴービ(セマグルチド)」です。脂肪吸収を抑える「ゼニカル(オルリスタット)」も肥満治療薬のひとつですが、こちらは自己負担となります。
ウゴービは、食欲低下や体重減少効果が期待されていて、肥満症に対する治療薬として承認されています。ただし、単なる美容目的ではなく「肥満症」という病気として適切な診断・治療を受けることが大切です。
マンジャロの使用を検討する前に知っておきたい注意点
最後にマンジャロの使用に関する注意点を紹介していきます。
マンジャロの使用を検討している方は、こちらも合わせてご覧ください。
SNSの体験談だけで判断しないことが重要
SNSでは「すぐ痩せた」「食欲がなくなった」といった体験談も多く見られますが、効果や副作用には個人差があります。
体質や持病によっては強い副作用が出ることもあるため、他人の成功例だけを参考に自己判断で使用するのは危険です。使用前には必ず公的機関からの情報や医師の説明を確認しましょう。
個人間での譲渡・売買は違法
マンジャロは医療用医薬品であり、無許可での販売や譲渡は薬機法違反となる可能性が高いです。実際にSNS上での転売や個人売買に対して、東京都薬務課が警告を出した事例や、書類送検されたケースも報じられています。
必ず医師と相談した上で使用すること
マンジャロは持病の有無、いま服用している別の薬などによって予期せぬ作用が出ることもあります。
安全に使用するためにも、必ず医療機関で診察を受け、医師と相談した上で使用することが重要です。
マンジャロは違法ではない|ただしダイエット目的で使用する際は注意が必要
マンジャロ自体は違法な薬ではなく、現在も2型糖尿病治療薬として正式に承認されている医薬品です。
また、法律上は医師の診察を受け、自由診療で処方されたマンジャロの使用自体は違法ではありません。
しかし、国や医療機関がその安全性を保証しているわけではなく、あくまで「医師と患者の合意の上で行われる自己責任の治療」という位置づけになります。
SNSでは「簡単に痩せられる薬」として拡散されることもありますが、効果が強く現れる可能性がある分、取り扱いには注意が必要です。
なお、個人間での売買や譲渡は違法であり、危険性も高いため利用しないようにしましょう。
マンジャロの使用に興味がある方は、医療機関に相談した上で効果と副作用の両方をよく理解することが重要です。

