「毎晩いびきをかいてしまい、家族から注意される」「自分のいびきで目が覚めることがある」――そんな悩みを抱えながらも、クリニックへ行く前に自分でできるいびきの治し方を探している方は少なくありません。
実は、舌や口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを継続することで、いびきの改善が期待できることが研究でも示されています。本記事では、自宅でできる具体的なトレーニング方法から、効果を高めるコツ、トレーニングだけでは改善しにくいケースまで、わかりやすく解説します。
いびきの治し方にトレーニングが効果的な理由
いびきの主な原因は、睡眠中に舌や軟口蓋(のどちんこのまわり)などが重力で落ち込み、気道が狭くなることで起きる振動音です。舌の筋力が低下していたり、口呼吸が習慣化していたりすると、この気道の閉塞が起こりやすくなります。

そこで注目されているのが「口腔筋機能療法(MFT)」と呼ばれるトレーニングアプローチです。舌・口輪筋・喉の筋肉を鍛えることで気道周辺の筋力を高め、睡眠中の気道狭窄を予防する効果が期待できます。ブラジルの研究では、口腔筋トレーニングを3ヶ月継続したグループでいびきの頻度が約36%減少したと報告されています。
なお、いびきの改善方法全般についてはいびきを改善する方法|枕・グッズ・生活習慣・クリニック治療を網羅もあわせてご参照ください。
いびき改善に効果が期待できる舌トレーニング5選
舌の筋力を高めることは、いびきの治し方として最も効果的なアプローチのひとつです。以下のトレーニングを毎日継続してみましょう。
①舌突き出しトレーニング
舌をできるだけ前に突き出し、5秒間キープします。次に舌を引っ込めて上顎に押しつけ、また5秒間キープ。これを10回1セットとして、1日2〜3セット行います。舌根の筋力を直接鍛えることができ、就寝中に舌が落ち込みにくくなる効果が期待できます。
②舌回しエクササイズ
口を閉じたまま舌を歯の外側に沿って大きくゆっくり回します。右回り10回、左回り10回を1セット。唾液の分泌も促されるため、口腔内環境の改善にも役立ちます。テレビを観ながらでもできるので、習慣にしやすいトレーニングです。
③あいうべ体操
「あ・い・う・べ」と大げさに口を動かすトレーニングです。「あ」では口を大きく開け、「い」では横に引っ張り、「う」では唇を前に突き出し、「べ」では舌を下に最大限伸ばします。1セット10回を1日3セット目安に行いましょう。口周りの筋肉全体を鍛えられるため、口呼吸の改善にも効果が期待できます。
④舌スポットトレーニング
上の前歯の少し後ろ(舌スポットと呼ばれる位置)に舌先をつけ、そのまま上顎全体を舌でなぞるように後方へスライドします。この動作を10回繰り返します。正しい舌の安静位を身体に覚えさせることで、就寝中の舌落ち込みを予防する効果が期待できます。
⑤ガラガラうがい(喉トレーニング)
水を口に含み、できるだけ長く(30秒〜1分)ガラガラうがいを続けます。これを1日2〜3回行うことで、軟口蓋や喉奥の筋肉を鍛えることができます。就寝前に行うと効果的です。
舌トレーニングは1〜2週間では効果を実感しにくい場合もあります。研究では3ヶ月以上の継続で改善が見られたケースが多く報告されています。毎日の歯磨きと同じように、生活習慣として取り入れることが大切です。
口輪筋を鍛えて口呼吸を改善するトレーニング
口呼吸はいびきの大きな原因のひとつです。寝ている間に口が開いてしまうと、舌が気道に落ち込みやすくなり、いびきが悪化します。口輪筋(口の周りの筋肉)を鍛えることで口を閉じる力が強まり、鼻呼吸への移行が期待できます。
①ほっぺパタパタ(頬筋トレーニング)
口を閉じた状態で頬を大きく膨らませ、次に思い切りへこませます。この動作を交互に20回繰り返します。口周り全体の筋肉を効率よく動かせるシンプルなトレーニングです。
②ストロー呼吸トレーニング
細めのストローを口にくわえ、そのストローだけで呼吸を5分間続けます。口輪筋を締める力が鍛えられるほか、鼻呼吸を意識するきっかけにもなります。テレビを観ながらでも実践できます。
③口テープの補助的活用
トレーニングの補助として、就寝時に口専用のテープで軽く口を閉じる方法もあります。口輪筋への直接的なトレーニングではありませんが、鼻呼吸の習慣化をサポートする効果が期待できます。ただし、鼻詰まりが強い方は使用前に医師に相談することをおすすめします。
主なトレーニング方法の比較
| トレーニング名 | 鍛える部位 | 1日の目安 | 難易度 |
|---|---|---|---|
| 舌突き出し | 舌根・舌筋 | 10回×2〜3セット | ★☆☆ |
| 舌回し | 舌全体・口輪筋 | 左右各10回 | ★☆☆ |
| あいうべ体操 | 口周り・舌・喉 | 10回×3セット | ★☆☆ |
| 舌スポット | 舌・口蓋 | 10回×2セット | ★★☆ |
| ガラガラうがい | 軟口蓋・喉 | 1〜2分×2〜3回 | ★☆☆ |
| ほっぺパタパタ | 頬筋・口輪筋 | 20回×2セット | ★☆☆ |
いびきトレーニングの効果を高めるコツと注意点
トレーニングの効果を最大化するために、以下のポイントを意識しましょう。
- 毎日継続する:週2〜3回では効果が出にくいため、毎日の習慣にするのが理想です
- 就寝前に行う:特に就寝前のトレーニングは気道筋の緊張を高めた状態で眠れるためおすすめです
- 横向き寝と組み合わせる:仰向けは舌が落ち込みやすいため、横向き寝を意識するとトレーニング効果が補完されます
- 体重管理も並行して行う:肥満は気道を圧迫するため、適正体重を維持することもいびき改善に重要です
- 飲酒・睡眠薬に注意:アルコールや睡眠薬は筋肉を弛緩させいびきを悪化させるため、就寝前の摂取は控えましょう
トレーニングの効果には個人差があります。いびきの原因が複数ある場合や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、トレーニング単独での改善が難しいこともあります。いびきの症状が強い場合や、日中の強い眠気・起床時の頭痛などがある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
トレーニングで改善しにくいいびきとは?
舌トレーニングや口輪筋トレーニングは有効ないびきの治し方のひとつですが、すべてのケースに対応できるわけではありません。以下のようなケースでは、トレーニングだけでの改善が難しい場合があります。
- 睡眠時無呼吸症候群(SAS):いびきとともに睡眠中に呼吸が止まる場合は医療機関での診断・治療が必要です
- 鼻中隔弯曲症・慢性鼻炎:鼻の構造や炎症が原因の場合は耳鼻科での対応が必要なことがあります
- 重度の肥満:首まわりの脂肪が気道を圧迫している場合は、まず体重改善が優先されます
- 扁桃腺肥大:扁桃腺が大きい場合は外科的処置が必要なケースもあります
自分のいびきが軽症なのか、医療的対応が必要なレベルなのかを判断するためにも、まずは専門家に相談することが大切です。いびきに効果的な対策についてはいびきに効果絶大な対策8選|専門医が教える即効性のある改善法もご参考にしてください。
自力でのトレーニングに限界を感じたら専門クリニックへ
数ヶ月トレーニングを続けても改善が見られない場合や、いびきの症状が強い場合は、専門クリニックへの相談を検討してみましょう。現在では、外科手術だけでなくさまざまな選択肢があります。
| 治療法 | 特徴 | 費用目安 |
|---|---|---|
| CPAP療法 | SASに対する保険適用の標準治療。就寝中に鼻マスクで陽圧をかけ気道を開く | 保険適用で月3,000〜5,000円程度 |
| マウスピース(スリープスプリント) | 下顎を前方に固定して気道を広げる。軽〜中等症に適応 | 保険適用で数千円〜/自費で3〜5万円程度 |
| レーザー治療(パルスサーミア等) | 軟口蓋を引き締めて気道を広げる。短時間で入院不要 | 自費で3〜10万円程度 |
| 外科手術(UPPP等) | 扁桃腺・口蓋垂の切除。重症例に適応 | 保険適用あり |
クリニック選びに迷ったらおすすめのいびき治療クリニック|選び方のコツも参考にしてみてください。
「クリニックへ行くのはハードルが高い」と感じる方は、オンライン診療から始めることもできます。いびき治療の専門クリニックでは、自宅で受けられる簡易睡眠検査キットの送付サービスを提供しているところもあります。まずは気軽に相談してみましょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、医療アドバイスではありません。症状がある場合は医師にご相談ください。
